お薬手帳を持ってないと、医療費は高くなるのか?
2016年4月から診療報酬が改定されたのですが、この改定により一部ネットユーザーの間で「お薬手帳を持ってないと、薬局で支払う薬代が高くなる!」というのが話題になっています。
そこでこの問いに対する結論を単刀直入に言うと、
手帳の非保有者を基準にすると、改定後は手帳の有無に関わらず薬局での薬代は多かれ少なかれ高くなる。
一方、手帳の保有者を基準にすると、改定後に手帳を使うと薬代は安くなり、逆に使わなくなると薬代は高くなる。
となります。
しかしこの内容だと薬代の具体的な増額・減額が分からないので、ここからは増額・減額の中身について説明していきます。
まず手帳の有無により変動が生じる医療費の項目に、"管理指導料"というものがあります。
管理指導料は、薬局が患者に薬を処方したり、薬の正しい飲み方・使い方などを薬局が患者に説明したりすることに対し、支払われる医療費のことです。
そしてこの指導料は改定前 (2016年3月以前) と改定後 (2016年4月以後) とでは、以下のように金額が違ってきます。
■管理指導料 (自己負担10割の金額)
改定前 | 改定後 | |
お薬手帳あり | 410円 | 380円 |
お薬手帳なし | 340円 | 500円 |
つまり手帳なしの人が改定後も手帳を作らないでいると、指導料は160円 (340円 → 500円) も値上がりするのに対し、改定後に作ると指導料の値上がりは40円 (340円 → 380円) で収まることになります。
一方、手帳ありの人が改定後も引き続き手帳を使っていくと、指導料は30円 (410円 → 380円) 安くなるのに対し、(こんな人はほぼいないでしょうが、)改定後は手帳を使わない行動を取ると、指導料は90円 (410円 → 500円) も値上がりします。
しかし診療報酬の改定で (僕たち一般庶民の視点で) 最も大切なことは、改定後に手帳を持ってる人は、持ってない人よりも指導料が120円安い (380円 → 500円)、つまり窓口での自己負担3割で考えると36円安いということです!
そもそもネットユーザーの「医療費が高くなる!」という意見は、手帳を持ってないであろう大半の世間の声を代表したものなので、世間全体としては手帳保有で安くなるのではなく、保有してもしなくても「高くなる!」という解釈に比重が傾くのは仕方ありません。
(といいつつ、管理人も「高くなる!」と感じてる人ですが、、)
しかし管理指導料 (薬代の一部) の増額は僕たち一般庶民では対処不能なので、どうせなら薬局に行ったついでにお薬手帳を発行 (無料) してもらい、未発行時よりも薬代の自己負担が36円安くなる状態にしておく方がいいと思います。
自己負担が36円安くなる条件
お薬手帳を持てば管理指導料は36円安くなると書きましたが、この値引きを受けるには以下の条件をクリアしなくてはなりません!
門前薬局以外の薬局 (後述) で発行してもらった手帳を後日 (前回の来店から半年以内)、発行元の薬局なり別の薬局なりで会計時に提示
書くと簡単ですが条件の中身は少々複雑なので、少し説明を加えます。
まず手帳の発行元はどこの薬局でもよく、例えばA薬局が発行した手帳はB薬局やまた別のC薬局でも有効となります。
ただし手帳は発行済だけど、不携帯のために提示できなかったという場合は値引き対象外です!
また、1回目の提示のとき (つまり発行時) も値引き対象外です!
値引きは同一店舗での、2回目以降の提示で初めて有効になります。
ただし提示回数は薬局ごとにカウントしていくので、例えばA薬局で1回提示した人が初めてB薬局を訪れた場合、B薬局での提示回数は1回目となるので、この訪問ではB薬局で値引きを受けられません!
また、たとえ2回目以降の提示であっても、前回の提示から半年を超えたタイミングでの提示となると、値引きの対象外となります!
例えば2016年5月に1回目の提示を行い、続いて2017年2月に同じ薬局で2回目の提示をする場合、"2回目以降の提示"の条件はクリアしてますが、前回の提示から半年を超えてる (10ヶ月) ので、値引きは受けれらません。
あと最後に、門前薬局 (規模の大きい病院の近くにある薬局) で薬を処方してもらう場合は、無条件に値引きの対象外となります。
ある薬局が門前薬局かどうかは、その薬局に訪問するなり電話するなりし、「お薬手帳の提示で薬代が安くなるか?」を聞けば分かります。
安くなれば一般の薬局ですし、安くならなければ門前薬局だと判断できます。
つまり薬代36円の値引きを受けやすくするには、どこか1つの薬局 (門前薬局以外) を自分のメイン薬局と決め、リピート訪問すればいいということです。
ちなみになぜ門前薬局が値引き対象外なのかというと、門前薬局は病院から指示された薬を機械的に患者に処方するだけで、一般 (町中) の薬局ほどは密に患者とコミュニケーションを取っていない!との評価を、厚生労働所が門前薬局に下したからです。
診療報酬の改定を実感しました!
管理人はかかりつけの薬局が1店舗あるのですが、改定前と後とではやはり管理指導料が違っていました。
下の図は改定前 (2016/3/2) のその薬局の目薬の領収書です。
この領収書に薬学管理料34点というのがありますが、これは簡単に言うと管理指導料が340円 (1点=10円) という意味です。
管理人は2016/3/2時点ではお薬手帳の非保有者だったので、この時の指導料は前述の表 (手帳なし-改定前) の金額 (340円) と一致しているのが分かります。
一方、次の領収書 (1枚目と同じ薬局、同じ目薬) の薬学管理料 (管理指導料) は50点 (500円) となっています。
この領収書は2016/5/27に発行されたものであり、かつ管理人はこの日に手帳を作ったので (1回目の提示)、この指導料 (500円) は前述の表 (手帳なし-改定後) の金額 (500円) と一致しているのが分かります。
つまり管理指導料は、薬学管理料という形で実際の領収書と繋がっているのです。
ちなみに調剤技術料と薬剤料は共に2枚目の方が安くなっていますが、この低価格化も診療報酬の改定の一環なのだと思います。
■まとめ
薬代を少しでも節約するには、メインの薬局を1店舗決め、
- お薬手帳の非保有者は次回の薬局訪問時に速やかに発行し、継続提示する
- お薬手帳の保有者は引き続き提示する
ことを徹底しましょう!