【体験談】高額療養費の支給申請の話
2012年に左足の脛を疲労骨折した管理人は、左足脛にチタンの金属棒を入れる手術を同年に行いました。
そして手術費・入院費などの総医療費の3割分 (256,341円) が自己負担限度額 (3,5400円) を超えていたので、"自己負担額−限度額"の差額を取り戻すために同年に高額療養費の支給申請を全国健康保険協会 (協会けんぽ) に行い、無事その差額分 (220,941円) を取り戻しました。
このように手術や入院等で医療費が高額となった場合、療養費の支給申請することでかなりの大金 (管理人だと220,941円) が返ってくるのですが、
「申請方法が分かりにくい!」「申請の手間が面倒!」
などの理由で療養費の申請を諦めたり、あるいは申請を意図的に行わない人も一部いるかと思います。
しかし申請手続きって意外と簡単ですし、何よりたった1回の申請で20万とか30万とかの大金が返ってくるので、この素晴らしい制度の恩恵を自らドブに捨てるのは相当愚行だと管理人は思っています。
(高額療養費の申請を行えるのは、国保なり会社の健康保険なりに加入してる人だけです)
そこで当ページでは、"高額療養費の具体的な計算方法"や"申請手続きに必要な書類"など、高額療養費を申請する際に必要となる知識を最小限にしぼり、解説しています。
高額療養費のことを書いてるサイトは多数ありますが、その多くが詳細な知識の記述に集中してるので、
「他サイトを読んでもよく分からなかった!」
という人は特に当サイトの記事を参考にしてほしいと思います。
高額療養費の申請で実際にいくら返金されるのか?
実際の返金額を知るには、まず自分 (高額療養費の申請者) の「標準報酬月額」と「総医療費」の2つを知る必要があります。
■標準報酬月額とは?
企業の健康保険組合/ 協会けんぽ/ 国などへの支払う保険料や、企業年金/ 厚生年金/ 国民年金などの受給額を決定するときに使われる、30等級 (種類) の金額のことです。
毎年4月/ 5月/ 6月の給与(交通費、残業代を含む、年3回以内のボーナスは含まない)の月間平均額 (毎年7月に決定) のことを報酬月額と言うのですが、自分の報酬月額を網羅する等級の金額が自分の標準報酬月額となります。
例えば2015年9月分以降の報酬月額と標準報酬月額は以下のように設定されています。(一部だけ表記)
報酬月額 | 標準報酬月額 | |
15等級 | 230,000円〜249,999円 | 240,000円 |
16等級 | 250,000円〜269,999円 | 260,000円 |
17等級 | 270,000円〜289,999円 | 280,000円 |
例えば報酬月額が257,594円の人は16等級に該当するので、その人の標準報酬月額は260,000円と判明します。
つまり自分の標準報酬月額を知るには、最も最近の7月に直結する4月/ 5月/ 6月の給与の合計値から、(もしあれば) 見舞金や一時金、年3回以内支給のボーナスを除き、その除いた金額を3ヶ月で割ることで得られる報酬月額を算出すればいいということになります。
報酬月額と標準報酬月額 (1〜30等級) の関係は、「日本年金機構のPDF」から確認を行えます。
■総医療費とは?
標準報酬月額は分かったと思うので、次は総医療費の話をします。
高額療養費の総医療費とは、被保険者 (保険証を持ってる人) が窓口で支払う金額から、保険適用不可の費用を除いた実費のことです。
保険証を持てる人の医療費を式で書くと、
医療費=保険適用の医療費 (3割は実費+7割は企業の健康保険組合/ 協会けんぽ/ 国などが負担) +保険適用不可の医療費
となるのですが、このうち、"保険適用の3割実費"が"被保険者の総医療費"に該当します。
一方、保険適用不可の医療費には、差額ベッド代 (個室とか) や日常生活で必要な支出 (入院中の食事代/ 日用品代など) 等が該当します。
つまり高額療養費の総医療費とは、実際に窓口で支払った金額から、入院中の食事代 (1食260円と計算) や (もしあれば) 差額ベッド代 (病院や部屋の種類で異なる) などの費用を引いた金額となります。
例えば差額ベッド代が5万円、入院中に食事を50回した被保険者が窓口で30万円支払った場合、その人の総医療費は23万7千円となります。
(計算式:30万円−5万円−260円×50回=23万7千円)
総医療費は自力で計算してもいいですが、医療費領収書の保険分負担金額 (呼び名は様々) を見れば一発で分かります。
■高額療養費の具体的な計算例 (2015年1月以降)
今紹介した方法で算出できる"標準報酬月額"から自分の所得区分が確定し、その所得区分の計算式に"総医療費"を代入することで、"自己負担限度額"が分かります。
自己負担限度額とは、各所得区分ごとに法律で設定された、高額な医療費に対する自己負担額の上限のことです。
例えば標準報酬月額28万〜50万円の人 (所得区分はB区分ウ) が手術や入院などで総医療費が40万円発生した場合、その人の自己負担限度額は、
80,100円+(総医療費400,000円−267,000円)×1%=78,770円となります。
なのでもしこの人が高額療養費の申請を行うと、総医療費から自己負担限度額を引いた321,230円が保険証記載の保険機関から戻ってきます。
あるいは標準報酬月額26万円以下の人 (所得区分はC区分エ) の総医療費が40万円発生した場合、その人の自己負担限度額は57,600円となり、高額療養費の申請を行うことで342,400円 (400,000円−57,600円) が戻ってきます。
高額療養費のよくある疑問
高額療養費の支給申請の規定は相当細かいですが、以下の4つを知っておけばまず大丈夫です!
■高額療養費の計算期間は?
高額療養費の支給額は1ヶ月単位 (暦月単位) の総医療費をもとに計算します。
なので入院期間が2ヶ月以上にまたがる場合は、各月ごとの高額療養費を計算し、各療養費に対し申請作業が必要となります。
例えば3週間入院する場合、その3週間が同じ月 (10月だけとか) に収まっていれば申請作業は1回で済みますが、2つの月にまたがると (例えば10月と11月)、療養費はその2つの月に分断され、申請作業は2回必要になります。
(前述した通り、差額ベッド代/ 入院中の食事代/ 日用品代などの支出は総医療費に含みません)
■同じ月に複数の医療機関を利用した場合、総医療費の扱いはどうなるのか?
療養費の申請は受診者別/ 医療機関別/ 入院・通院別に行い、かつ総医療費が21,000円以上のものが申請対象となります。
なので、例えば同一人物の総医療費がA病院で入院20万円、A病院で通院10万円、B病院で通院2万円が同一月に発生した場合、療養費の申請対象となるのはA病院での入院費と通院費だけであり、B病院の通院費は21,000円を下回るので対象とはなりません。
また、申請はA病院での入院費・通院費の合算 (30万円) ではなく、
- 入院費 (20万円) に対する療養費の申請
- 通院費 (10万円) に対する療養費の申請
の2回に分かれます。
■申請はいつまで遡ることが可能か?
診療を受けた月の翌月1日から2年間が申請可能期間となります。
なので申請希望の医療行為がこの2年に収まる時期に行われたのであれば、過去に遡って申請することができます。
■申請手続きに必要な書類は何か?
- 高額療養費の支給申請書
- 保険証のコピー
- 病院の領収書 (後日、申請先から返ってきます)
- 療養費の振込口座
の4つとなります。
申請書は自分が加入している医療保険の運営機関(企業の健康保険組合/ 協会けんぽの都道府県支部/ 市町村の国民健康保険課など) の公式ホームページからダウンロードするなり、郵送してもらうなりして入手します。
■療養費の申請先はどこですか?
自分が加入している医療保険の運営機関 (保険証に記載) に、上記書類を持参または郵送することで申請を行えます。
ちなみに管理人の場合、2012年5月5日に書類を輸送し、5月7日に協会けんぽの京都支部に書類が届き (受付け完了)、7月20日に支給が決定し、7月25日に振り込み (ページ冒頭の220,941円) が行われました。
つまり書類郵送から振り込みまでにかかった日数は約80日でした。
なのでこれから高額療養費を申請する人も、郵送〜療養費の受け取りには80日前後の期間が必要だと思われます。
まとめ
何かと煩雑な気がする高額療養費の支給申請ですが、要はダウンロード入手した申請書に総医療費 (領収書に記載)/ 振込先口座/ 住所・生年月日などの基本情報を記入し、その申請書を保険証のコピーや病院の領収書と共にポストに投函するだけとなります。
投函してから振込みまでは約80日と若干時間がかかりますが、投函以降は特に何もしなくていいので気長に待ちましょう!
そして実際に振り込まれるとメチャクチャ嬉しいですし、手術や入院という苦行を耐え抜いた後にゲットできるビッグギフトでもあるので、高額医療を受けた人は絶対に療養費を申請し、この嬉しいさを体感してほしいです!