新興の国際ブランドである、中国の銀聯(ぎんれん)カードと主にアメリカで使われてるDiscoverCardの話
このページでは、世界規模の7つの国際ブランドのうち、新興ブランドに区分される中国銀聯カード (ちゅうごくぎんれんカード) とDiscover Card (ディスカバーカード) についての話をしています。
(残り5つは、VISA/ MasterCard/ JCB/ AMERICAN EXPRESS/ Diners Clubです)
中国銀聯カード
銀聯カード (正式名称はUnionPay、ユニオンペイ) とは、中国人民銀行 (中国のメインバンク) を中心に2012年に設立された、銀聯加盟の金融機関同士を結ぶ世界規模の決済ネットワークのことです。
決済ネットワークの運営団体のことを金融業界では"ブランド"と呼ぶので、銀聯はVISAやMasterCardなどと同様に、ブランドとして機能しています。
しかし銀聯が他ブランドと大きく違うのは、銀聯カードの決済手段が"銀行口座からの即時引落"であるのに対し、他ブランドのカードは"信用取引"であることです。
つまり銀聯カードは日本でいうところのデビットカードに該当するのです。
ではなぜ銀聯カードが信用取引 (クレジット機能) を採用していないかというと、中国は貧富の差が激しく、今日1日の日銭にさえ困ってる人が多数いるので、国民全体として信用取引にて買い物を行えるマネーインフラの導入は今のところ実現が難しいからです!
仮にもし銀聯カードにクレジット機能を導入するとすると、債務返済不能のカード利用者が多数発生し、銀行が一時立替えたカード利用者に対する債権回収を速やかに達成することが難しいと予想できるからです。
なので中国人がキャッシュレスで買い物するには、たとえそれなりの富裕層であっても、銀聯カードを持つ以外の選択肢はほぼないのです!
■銀聯カードに対する世界の評価
中国のマネーインフラの整備自体は遅れていますが、銀聯カードを持つ金持ちの中国人は多数存在するので、店舗側 (世界を問わず) としては彼らの訪問を大歓迎しています。
日本でよく中国人による爆買いがニュースになりますが、人民元の1日の持ち出し上限は2万元 (約34万円) と中国の法律で決まっているので、彼らの日本でのショッピング代金のほとんどは銀聯カードで支払われます。
(日本だとここ数年でコンビニやファミレスという超身近な店舗でも銀聯カードを使えるようになってきました)
しかも銀聯カードは銀行口座からの即時引落なので、クレジットカードのように、店舗がカード会社に負担すべき手数料は発生しません。
なので店舗側としては手数料ありのVISAやMasterCardよりも、手数料不要の銀聯カードで決済してもらえる方が本当はありがたいので、彼ら (店舗側) は銀聯カードの対応に躍起になっています。
実際、銀聯カードは登場からわずか15年程度で中国国内に300万超、中国以外で約700万の加盟店を有する爆発力の高さを見せてきました。(2016年現在)
中国の経済発展速度は凄まじいですし、手数料ゼロなことも店舗としては超魅力的なので、そう遠くない将来、銀聯カードはVISA (約3,000万店) やMasterCard (約2,900万店) を追い抜き、世界1の国際ブランドに躍り出るかもしれないと言われています。
■中国国内での銀聯カードの評判
中国での銀聯カードの評判はもの凄く高いです。
なぜなら中国の店舗は銀聯以外のブランドの加盟店になりにくいという背景があるからです。
通常、VISAやMasterCardなどの国際ブランドに加盟するには、その国の企業が国際ブランドから"加盟店申請の受諾可否を判断する権限"を貸り、その権限にて店舗のブランド加盟申請の可否を決定していきます。
しかし中国ではこの権限を有してる企業が比較的少ないので、必然的に銀聯以外のブランドに加盟している店舗も限られてくるのです。
また、たとえ銀聯ブランド以外に加盟できそなう店舗でも、先ほど書いた手数料ゼロの恩恵を受けるために、あえて銀聯以外のブランドは使えないよう意図しているケースも多数あるからです。
銀聯カードの中国加盟店数が300万超なのに対し、VisaやMasterCardの中国での加盟店数は30万程度しかない状況を考えると、中国での銀聯カードの人気は、背景はもちろん、手数料ゼロの策略もかなり影響を与えているのだと思います。
なのでもし僕たち日本人が中国に長期滞在したり頻繁に出かけたりする際には、銀聯カードを持ってると何かと便利だと思います。
日本の企業だと、三井住友カードや三菱UFJニコスなどが銀聯カードを発行しています。
Discover Card (ディスカバーカード)
Discover Cardは中米 (いわゆるアメリカ) や一部の北米 (カナダ) でのみ有効な地域限定の決済ネットワークとして、1985年にディスカバー・カード・フィナンシャル・サービスにより設立されたブランドです。
従来はアメリカ (や一部カナダ) の店舗しか加盟できない、非常に局所的なブランドだったのですが、1993年にモルガンスタンレーに売却されて以降、ネットワーク網が急速に広がり、2005年にめでたく国際ブランドの仲間入りを果たしました。(世界規模の決済ネットワークだと認知されました)
とは言え、2016年現在の世界の加盟店数は400万程度にすぎないので、他の国際ブランドと比べるとまだまだ大きい差があります。
(VISA:約3,000万、MasterCard:約2,900万、銀聯カード:約1,000万)
しかし2005年に中国銀聯と、次いで2006年にはJCBと加盟店の相互開放を始めたので、Discover Cardで決済可能な地域は相当広がってきました!
加盟店の相互開放とは、
- 他社ブランドのクレジットカードを自社ブランドの加盟店で使えるようにする代わりに、
- 自社ブランドのクレジットカードも他社ブランドの加盟店で使えるようにしてもらう、
複数ブランド間の協力関係のことです。
なのでDiscover CardはJCB加盟店、すなわち日本のほぼすべての店舗で使えますし、中国を中心とした世界中の銀聯加盟店でも使えるのです。
と同時に、JCBブランドや銀聯カードはDiscover Card加盟店、すなわちアメリカの大半の店舗で使えるのです。
つまり日本国内においてはDiscover Cardの使いやすさはJCBカードと同水準なわけです。
ただしDiscover Cardブランドのクレジットカードは日本では1枚も発行されてないので、日本での知名度自体は相当低いです!
つまりDiscover Cardは日本で使えるけど、僕たち日本人がDiscover Cardを目にする機会はほぼないので、日本での知名度は低くならざるおえないのです!
■JCBブランドをアメリカで使う
JCBブランドは、アメリカに多数の加盟店を持つDiscover Cardと加盟店の相互開放を行っているので、理屈的にはアメリカの店舗の支払をJCBカードで行えるはずです。
もちろんJCBカードはアメリカ店舗で使えますが、加盟店の相互開放を最も認識してるのはJCBやDiscover Cardの社員であり、相互開放の作業に直接関わったわけではない店舗サイドとしては、やはりこの認識が曖昧になる傾向があるので、店舗によってはJCBカードの利用を拒否される事態が多少起こります。
一方、日本側 (JCB加盟店) は2006年の相互開放契約の締結以降、Discover Cardの受け入れ対応を素早く行ってきたので、JCB加盟店であればDiscover Cardは何の問題もなく使えます。
アメリカ側のJCBブランド対応の徹底のしていなさと、日本側のDiscover Card対応の早さを見ると、アメリカ人の大雑把さと日本人の生真面目さがよく分かります。笑
■Discover Cardのまとめ
Discover Cardはその発祥地であるアメリカで特に大きいシェアを握っているので、アメリカに長期滞在したり頻繁に訪れる場合はDiscover Cardのクレジットカードを1枚持っておくのがいいと思います。
あるいは日本/ 中国/ カナダでも相当高い利便性を発揮しますが、ヨーロッパでは使いにくいので、もしヨーロッパで使うならVISAかMasterCardの方がいいと思います。